株式会社ジェームス岡山
岡山県を中心に国内外で事業展開するSUENAGA Group12社(従業員約2,500名)の一員です。JR北長瀬駅南側、岡山土地倉庫株式会社西岡山営業所1階に立地。トヨタ系のフランチャイズで、カー用品とカーメンテナンスを提供しています。
プロフィール(左から)
●H.F.さん 取締役(営業部部長)
●M.M.さん フロアスタッフ(用品リーダー) -3児のパパ(育休3ヶ月取得)-
●N.I.さん 営業部(経理総務リーダー)
周囲の協力を得て3ヶ月の育休を取得
―男性の育児休業取得率が7.48%だった2019年に、3ヶ月間の育児休業を取得した3児のパパM.M.さんにお話をうかがいます。育休取得を支援した取締役H.F.さん、経理総務リーダーN.I.さんにも当時を振り返ってもらいました。まずM.M.さんから第三子が生まれるタイミングで初めて育休を取得した経緯についてお願いします。
M.M.
第一子(長女)と2歳違いの第二子(長男)が帝王切開で、産後の回復に時間を要し、思うように動けない状態にも関わらず、妻は一人で子どもたちの世話をしてくれていました。保育園に通わせていない幼い二人に手がかかるなか、年子の第三子(次女)の妊娠だったため妻から初めて育休を取ってほしいと懇願されました。私自身も、ミルクを飲ませたり夜中に寝かしつけたり、できることで育児に参加していましたので、妻の負担の大きさは重々承知でした。そこで上長や取締役、経理総務のN.I.さんに相談し、育休を取得させていただきました。

―M.M.さんは初めて育休を取得された男性スタッフとのことですが、申請を受けてからの対応についてお願いします。
H.F.
ちょうど男性の育休が話題を呼んでいた頃と記憶しています。そのようなタイミングで育休申請を受けたこともあり、すんなりと受け入れられました。休む時はお互いさまですし、M.M.さんは育休でしたが、今後は親の介護や個人の体調とかでの休業申請は多くなると予想しています。そこは「お互いさま」「相互扶助」の精神で乗り越えるしかないと思っています。
N.I.
総務担当としてM.M.さんの申請が特別なこととされない雰囲気を作っていたように思います。また、本人が事務的なことで戸惑わないよう、経済的にも納得できる育休取得になるよう相談しながら支援しました。
M.M.
わが家は一馬力なので給料は多い方がよいわけで、「ここが免除される」とか、具体的にきちんと教えてもらえたので助かりました。

―育休前に用品リーダーとしてM.M.さんが取り組まれたことを教えてください。
M.M.
当時、私は接客と商品管理の業務を担当していました。弊店の場合、通常接客はどのスタッフでも対応できるようにしています。私が抜けた分、少人数にはなりましたが、協力しあって対応してくれたおかげで、業務に支障を来すことは特になかったと思います。商品管理に関しては一緒に担当していたスタッフがベテランでしたので、発注の仕方など最低限必要な事柄を引き継ぐだけで、安心して任せることができました。常連のお客さまへもしばらくお休みすることをお伝えしたところ「頑張って」とのお声をいただき励まされました。
育児は決して甘くみてはいけない
―育休中の過ごし方も人それぞれだと思います。3歳、1歳、0歳の育児と家事はどのような様子だったのでしょうか?
M.M.
出産予定は8月だったのですが、7月1日から育休に入りました。妻の体調が思わしくなく、家事もままならない状態になっていたからです。出産までは長女と長男の世話がメインでした。出産後は次女の育児を一手に担ったため、本当に大変な3ヶ月間でした。そのような中で妻から「孤独を理解してほしい」と言われ、ニュースなどで耳にする育児ノイローゼは他人事ではないことを思い知りました。専業主婦の妻は、一日中家の中で育児・家事に追われて、誰も相談にのってくれない、会話もできない時に不意に孤独感に襲われていたというのです。僕も育休を通じてその気持ちを多少なりとも理解できた気がします。

―育休といってもいろいろなケースがあるのですね。
M.M.
家庭によって育児の環境は異なると思いますが、僕は3時間おきにミルクを飲ませ、子どもが泣く理由がわからずにひたすらあやすことも日常茶飯事でした。育児は決して甘くみてはいけないと実感しました。仕事から家に帰ってきて家事が溜まっていても「今日は大変な一日だったんだな」と理解できるようになりましたね。何でできてないの、なんて二度と言わないです。すべてが幸せで順風満帆のイメージで育休に入ると僕みたいに仕事に行きたい思いに駆られます。仕事をしている方が、よほど気がラクだからです。育児や家事の大変さを知ったおかげで人生観が変わりました。
―育休を取ったことに関して、奥さまの反応はいかがだったでしょうか?
M.M.
次女も6歳になりましたが、いまだにありがとうと言ってくれます。以前に比べて僕が担当する家事の量は少ないですが、炊事・洗濯・掃除なんでもできるようになったのは育休のたまものです。常に家にいて子どもの世話をしている専業主婦には休みがないので、僕の休日は妻の休日とし、ご飯は僕が作ると決めています。
「お互いさま」精神が浸透する風土
―「お互いさま」「相互扶助」の精神が根付いている社風は、育休とは関係なく以前から浸透しているのでしょうか?
H.F.
スタッフの大半は勤続年数も長く、みんな同じように年齢を重ねてきています。日ごろから積極的にコミュニケーションも取っているので、それぞれの人となりはもちろん各家庭の状況も分かっていると思います。そうした風土により「お互いさま」「相互扶助」の精神が自然に育まれてきたのではないでしょうか。休みたくて休むわけでもないので、お互い理解し合おうという雰囲気は作ってきたつもりです。

―M.M.さんの育休取得に対しても、人となりを理解した上でいろいろな提案などをされたのでしょうね。
N.I.
M.M.さんがしっかりした性格で、市役所での細かい手続きなども奥さんに任せっきりにしないことは、日ごろの会話からも分かっていましたので、しっかりと説明しました。逆に奥さんに任せる人だろうな、と感じていたら、質問されるまであまりタッチしなかったように思います。
―週末の休日取得についても工夫されているようですね。
H.F.
子育て中のスタッフは週末に休日を取りがちではあるのですが、不公平にならないように独身の方、子育てしていない方もなるべく週末に休みが回るようにシフトを組んでもらっています。
―公平性を保つ工夫も「お互いさま」と思える風土づくりの後押しになっているのですね。
休業申請を切り出しやすい環境づくりが課題
―将来を見据えたアドバイスやご意見などをお願いいたします。
M.M.
現在のところ、弊社では育休取得予定の社員はいないと思われますが、グループ会社の中では多くの人が考えていると思います。どこまで家事・育児をするか、何日取るかは個々の自由ですが、取れるならぜひ取得するべきですね。育休取得は本人から言わせるのではなく、企業から勧めてもらえると取得しやすいと思います。同僚に対しては、快く応じて温かく迎え入れてくれることが何よりではないでしょうか。

N.I.
今後は育休に限らず休業を「切り出しやすい」環境づくりをしたいです。そうすることでスタッフがより会社を愛し、繁栄につながると思います。
H.F.
私どもの場合は「お互いさま」のひと言ですね。今回、M.M.さんの育休を振り返り、再度その重要性を強く感じました。相互扶助という言葉もありましたが、困った時はお互いさまの精神が大事だということです。
―今も昔も社会生活において大事なことは不変であり、「お互いさま」の尊さを気づかせてもらいました。またその精神が自然に育まれている風土の素晴らしさも感じました。貴重なお話をありがとうございました。
株式会社ジェームス岡山
岡山県を中心に国内外で事業展開するSUENAGA Group12社(従業員約2,500名)の一員です。JR北長瀬駅南側、岡山土地倉庫株式会社西岡山営業所1階に立地。トヨタ系のフランチャイズで、カー用品とカーメンテナンスを提供しています。