経営者に聞く:ダイヤ工業株式会社 代表取締役 松尾 浩紀

従業員一人ひとりの豊かな人生を応援する会社でありたい。

2026.11.06

ダイヤ工業株式会社

住所:〒701-0203 岡山県岡山市南区古新田1125
電話:086-282-1245
コルセットやサポーターなど、医療用品の開発から製造、販売まで一貫して行っている医療用品メーカーです。お客さまの健康な身体をサポートし、快適で安心便利な生活を送ることができる製品を生み出しています。

「家庭が一番」という価値観

─「働きやすい会社づくり」を進める上で、大切にされていることはありますか?

松尾社長

従業員のみなさんによく言っているのは「家庭が一番」ということです。たとえば、お子さんが熱を出したときなど、ご家族のことで急に早退しなくてはならなくなることがありますよね。そんなときに後ろめたさを感じてしまうような会社ではいけないと思います。家庭を優先してください、といつもメンバーに言っています。
やっぱり人間ってなんのために生きているかというと、愛する人と一緒に幸せになるためだと思うんです。家庭をないがしろにして仕事をやりなさいなんて絶対に言えませんし、私だってそんなのはイヤだなと思います。家庭が気がかりな状態で、仕事に集中できるはずがないですよね。
従業員みんなが幸せに働ける環境をつくることが、会社の大きな目的の一つだと思っています。

─2024年に「岡山働き方改革パイオニア企業」に選出されています。どのような取り組みをされてきたのでしょうか。

松尾社長

子育て中の従業員が復帰しやすい環境の整備など、いろいろな制度をつくっていますが、重要なのは制度を従業員に当てはめるのではなく、一人ひとりの従業員にとって、どのような環境が働きやすいのかを考え、制度に反映させることだと思っています。

松尾社長

ただ、どの制度も私が「これをやろう」と言ったことはないんです。すべて従業員から出てきた意見で、その声を管理職のメンバーがきちんと拾い上げ、精査し、働く環境を良くしようと思って取り組んでくれた結果です。私は「こういう考え方を大切にしようね」という大きな方向性だけアドバイスしますが、個々の取り組みについては従業員に任せています。本当に良い従業員に恵まれていると思いますね。

女性従業員の出産・育休後復帰率100%

─御社には時短勤務制度が8種類あると伺いました。こうした制度づくりにはどのような背景がおありでしょうか。

松尾社長

個々の従業員の事情に合わせているうちに種類が増えていきました。もちろん出てくる希望をなんでも制度化しているわけではありません。「自分だけが良くなればいい」という利己的な思考に基づくものではなく、会社・従業員・社会のそれぞれにとってプラスとなる「三方よし」であるかどうかを制度採用の判断軸にしています。
当社は従業員の55%が女性なのですが、女性従業員の出産・育休後復帰率が100%となっています。これも私から復帰率の目標といったものを掲げたことはありません。従業員が一つずつ環境の改善を積み重ねてきた結果、気づくとそうなっていたんです。出産した従業員が復帰することが当たり前という風土ができあがっているのを、誇りに思います。

松尾社長

私からは「家庭は大切だよ」「誰でも休みやすい環境、戻りやすい環境になるといいよね」という、大きなコンセプトだけ出してきました。子育て中でない方でも、介護に直面することがあるかもしれません。お互いに助け合いながら、持ちつ持たれつで長く働き続けられる環境がいいよねという思いは伝えてきたつもりです。

─子育てと仕事を両立できる環境づくりを進めたことで、社内に変化はありましたか?

松尾社長

女性の管理職が増えました。当社では子育て中だからという理由でキャリアに天井を設けないようにしています。性別に関係なく、がんばる人を応援したいと思っていますので、本人次第で責任あるポジションをお任せしています。そうした方々が子育て従業員のモデルケースになって、あとに続く人を引っ張り上げるという、良い効果を生んでいるように思います。私としては早く女性の役員が生まれるといいなと思っています。こればかりは本人の意思次第なので、一方的に勧めることはできませんが、十分にその可能性のある方はいると思います。

みんなが働き続けたいと思える会社にしたい

─経営者として大切にされていることがございましたら、お聞かせください。

松尾社長

京セラ創業者・稲盛和夫氏の「大家族主義」という言葉がありますよね。経営者も含むすべての従業員が、苦楽を共にしてお互いを尊重し合うという考え方です。私たちもそのような組織でありたいと考えています。
これは私の発案だったのですが、3年ほど前に「自分の半生を話す会」を開催しました。強制ではなく、希望者を募って行ったものです。5名ほどのグループをいくつかつくって、そのグループのメンバーの中だけで自分の過去のできごとやターニングポイントになったことなどを赤裸々に語るという会です。

参加したメンバーはみんな「参加してよかった」と言ってくれました。子供の頃から歩んできた道のりや経験談を聞くと、その人のファンになるんですよね。「そんな困難を乗り越えてきたんですね」と感動したり、「そんな意外な一面があったんだ」と知ったり。そうすると距離がぐっと縮まって、まさに家族のような親しみがわいてくるんです。

─ワーク・ライフ・バランスについてはどのようにお考えでしょうか?

松尾社長

家庭が一番大切という価値観を持ちながら、同時に、働きに来ることが楽しい会社にしたいと思っています。月曜日にナーバスになるのではなく、ワクワクできる会社にしたい。全員がそうなるのは難しいかもしれませんが、理想としてはそんなふうに思っています。

先ほどの「自分の半生を話す会」でも私自身の話としてメンバーに話したのですが、私は前職で会社員をしていた頃、仕事をさぼってばかりの、やる気のない従業員でした。それがある日、尊敬する先輩がかけてくれた一言でスイッチが入ったんです。「できるところを見せてみろ」という叱咤激励でした。悔しいな、先輩にいいところを見せたいな、と奮起して頑張り始めました。そうすると、自分の力で結果を出すことが楽しくなってくるんですね。

松尾社長

スイッチさえ入れば、人は何歳からでも変わることができると思います。私の場合は先輩の一言でしたが、人それぞれスイッチはあると思うんです。そんな自分の経験があるので、従業員にはいろんなことに気づくきっかけをつくってあげたいと思っています。新しいプロジェクトに関わる経験もそうだし、部署異動もそうです。今は足踏みをしていても、環境が変わればうまくいく人もいるんじゃないかなと思っています。

─今後の取り組みとしてお考えになっていることはありますか?

松尾社長

今後についても、「みんなが働き続けたいと思える会社にしたい」という目標は変わりません。今、導入を検討しているのは、全従業員を対象とした新しいタイプの長期休暇制度です。まだ詳しい内容はお知らせできないのですが、近いうちに導入するつもりで動いています。申請型で、個人単位で取得してもらう休暇制度です。
長期休暇を取ってもらうためには、誰かがいなくなっても仕事がまわる状態をつくっておくことが大切です。これは育休制度も同じですよね。私たちはそういう職場をつくってきましたので、この制度の導入は可能だと考えています。
人生に悔いが残らないように、自分のやりたいことができるチャンスをつくってあげたいという思いが、この新制度のベースにあります。私たちは、従業員一人ひとりの豊かな人生を応援する会社でありたいと思っています。

─松尾社長が、従業員のみなさんの「人生の幸せ」を大事にされていることが言葉の端々から伝わってきました。決して簡単ではないテーマに、真摯に向き合おうとする姿勢を感じました。

▶かぞくと編集部:「従業員一人ひとりの豊かな人生を応援したい」。社長のその想いが根底にあるからこそ、単なる制度にとどまらず、組織全体で支え合い共に成長できる「両立支援」の環境が築かれているのだと深く感じました。働く人を心から大切にする、素敵な社風が伝わるお話でした。

ダイヤ工業株式会社

住所:〒701-0203 岡山県岡山市南区古新田1125
電話:086-282-1245
コルセットやサポーターなど、医療用品の開発から製造、販売まで一貫して行っている医療用品メーカーです。お客さまの健康な身体をサポートし、快適で安心便利な生活を送ることができる製品を生み出しています。