株式会社岡山臨港
住所:〒702-8045 岡山県岡山市南区海岸通2丁目1-16
電話:086-262-0161
1951年に鉄道事業会社として創業し、時代の変遷に応じて事業内容を変え、現在は倉庫・運輸・物流不動産を中心とした総合物流会社として「安全・安心・確実」をベースに地域社会の発展に貢献し続けています。
<プロフィール>左から
●C.O.さん 人事グループ 主管
●H.A.さん 物流本部 企画グループ長-2児のパパ-(育休2ヶ月間)
社内初となる男性管理職の育休は上司と部下でカバー
―今回は大手建設会社から株式会社岡山臨港に転職して4年目になるH.A.さんと、人事業務全般がご担当のC.O.さんにご登場いただきます。H.A.さんは幅広い分野に関わる管理職でありながら、男性として初めて育児休業を取得されました。物流業界では画期的な風土を築かれている企業の子育て支援制度をはじめとする福利厚生などについて伺います。まずH.A.さんがこちらに就職された理由から教えてください。
H.A.
建設とは異なる業界で、前職での経験を生かせる企業での就職を考えていました。㈱岡山臨港の倉庫・運輸・不動産賃貸を展開する事業内容、従業員のために導入している各種制度や創意工夫を凝らす職場環境などに興味を持ったことが理由の一つです。働き方に対する理解や柔軟性にも注目し、いろいろな経験ができる雰囲気を重視して決めました。
―具体的にどのような業務を担当されているのでしょうか?
H.A.
事業計画の企画からマーケティング、新規案件の提案および営業、不動産賃貸部門の管理などです。
―お二人目の誕生に合わせて育児休業を取得されています。その旨を伝えた際の周囲の反応はいかがだったのでしょうか?
H.A.
上司からはその場で快く了承いただけました。当社の男性で長期育休取得の実績がなかったので、最初になる私のケースが「他の男性に取りやすさを知ってもらう機会になるのは会社にとっても良い」と話してもらったことを覚えています。私の後に二名が取得したようです。

C.O.
二名とも現場職で、それぞれ1ヶ月ほど取得しています。
―一般的に現場で働く方は育休取得が難しいと言われていますが、貴社はどのような状況でしょうか?
C.O.
H.A.さんの取得後、社内で「男性も育休が取れますよ」と発信しています。何よりも少しずつですが周りのサポートができているからだと思います。
―H.A.さんの育休取得中のサポートはどのような様子だったのでしょうか?
H.A.
私が管理職というポジション上、自部門の管理については上司に引き受けてもらいました。私の上司は多部門を統括する本部長になるため大変多忙にも関わらず「仕事は大丈夫だから、こちらよりも忙しい家庭を優先して」と温かい言葉をかけてもらい、本当にありがたかったです。毎月の実績報告や不動産に関する業務の一部は部下に任せました。彼らは不安そうでしたが「これを機にやってみる」と前向きに捉えてくれて助かりました。
―男性の育休取得率アップにブレーキをかけていることがあるとすれば、何だと思いますか?
H.A.
金銭的な面でしょうか。現在の育児休業制度では、男性も約1ヶ月間は給与の80%が給付されますが不十分だと思います。加えて社会保険や税金については全般的に知らないとマイナスになる制度が多く、内容が複雑すぎる点も個人的には課題と認識しています。
2024年以前に労働環境の見直しに着手し、新たな子育て制度も導入
―貴社で実施されている子育て制度について教えてください。
C.O.
当社ではコロナ禍をきっかけとした「テレワーク勤務制度」に加え、2023年7月に働きやすい職場環境を実現するために、ワーク・ライフ・バランスの充実や効率的な業務遂行を目的に「所定労働時間の短縮」「フレックスタイム制度」を導入しています。特にフレックスタイム制度は子育て対象者に限らず好評で、うれしく思っています。ただ現場職の場合は適用が難しいため、何らかの対応が今後の課題と考えています。
―貴社ではホワイト物流を推進されていますが、労働環境を改善する一環として現場職の方が育休や各種制度を活用しやすくすることも含まれるのでしょうか?
H.A.
ホワイト物流は、一般的には労働時間が長くなりがちなドライバーや倉庫事業者において業務負担が高い職場環境を見直し、できるだけ適正な労働時間内で業務が行われるよう、契約に含まれていない作業の負担を軽減するといった、労働条件のホワイト化を推進するための取り組みなので、ニュアンスが違います。
C.O.
個人差はありますが、当社は労働時間に関してはきっちりできていると認識しています。
―2024年問題では多くの物流・運送関連企業が労働環境を見直しました。こちらはどのような様子だったのでしょうか?
C.O.
2024年よりも前に再検証し、給与体制を改訂しています。基本は働かないと給料は多くもらえませんが、働けなくなったとしても最低限の保障はするようにしています。そういう意味ではドライバーさんにとって安心感のある職場になったのではないでしょうか。

―運送業界では画期的な風土を築かれているといわれる所以の一つですね。
H.A.
運送に関しては、営業的な戦略の一つとして長距離路線を少なくしています。理由は、売上効率の向上や高騰する燃料費等のコスト増に対応するためでもありますが、「朝、出発してその日のうちに家に帰りたい」若い世代が非常に増えていることも一因となっています。基本的に泊まりで行くような路線ではなくて、一日で帰って来られる範囲に重心を少なからずシフトしています。
―画期的な働き方の推進で、現場の方も育休が取得できたということなのでしょうか。
C.O.
そういった側面もあると思います。当社の場合は比較的、年齢層が高く、最近H.A.さんの年代が少しずつ増えてきました。その世代が育休を取れる風土を作っていくために、上司も古い考え方ではなくて、今の時代に合わせた考え方に少しずつシフトチェンジしてくれているという流れもあると思います。
時代に合った働きやすい環境づくりは恒常的な課題
H.A.
従業員にとって働きやすい環境づくりは関心事なので、福利厚生はクローズアップされがちですが、同時に従業員の生活を守るためには業績を伸ばしていかなければなりません。路線区間の見直しは、労働環境の改善と業績にも貢献することから導入の方向で進みました。決して福利厚生や働き方だけを良くするのではなく、みんなにも頑張ってもらうことが大前提になっています。
―それがH.A.さんが担当されている提案営業や事業計画になるのですね。
H.A.
そうですね。1年2年後ではなくて、3年から5年ぐらいの中期計画の中で、どのように事業が継続できるかというところは、会社が成り立っていく上で一番大事なことだと思っています。
C.O.
売り上げあっての従業員の福利厚生という部分はもちろんありますが、10年20年先を考えた時に、その時代がどのような流れになっているかわかりません。それでも、時代に合った環境づくりは探ってでも進めていかなければならない、ずっと続く課題だろうと思います。これからもH.A.さんの力を貸してください。

H.A.
はい。
―企業に対するご要望や提案がありますか?
H.A.
従業員からも声が挙がっている時間有給制度があれば、ありがたいと思います。しかしながら働き方については従業員に十分に配慮してもらっているので、日々感謝して仕事に向き合うことができています。有給休暇に関しても、上司から病気や用事だけではなくて、旅行などプライベートでの取得を奨励され、私も恩恵を受けています。
―今後、取り組みたいと考えている施策や制度がありますか?
C.O.
いろいろな理由で仕事が続けにくい状況に直面する従業員に対して、その時に支えられるような環境づくりをもっと構築していきたいと考えています。当社は年齢層が高いので、育休はもちろんですが、介護が増えていくと予想しています。せっかくの大事な人材が問題や困難に直面した時に会社を辞めなくてもよいように、働く場所をきちんと提供できる環境を作っていかなければと常々思っています。育休も含め、すべてにおいて改善していけるよう、これからも努力していきます。
―福利厚生の充実には、その基盤となる企業の業績の向上につながる事業の見直しや、従業員の士気が不可欠という俯瞰的な視点を伺えたことが新鮮でした。1951年設立の岡山臨港鐵道株式会社をルーツにもつ企業のDNA「安全・安心」と、物流業界では画期的といわれる風土を垣間見させてもらった気がします。貴重なお話をありがとうございました。