プロフィール(左から)
J.M.さん 工務本部土木部工事グループ所属 -2児のパパ-
R.J.さん 工務本部建築部工事グループ所属 -1児のパパ-
Y.M.さん 経営企画本部 経営企画部 総合企画課所属 労務・制度担当
育休取得したパパの場合
─荒木組の男性社員の育休制度取得状況を教えてください
Y.M.
今回のR.J.さんで2人目です。ここ1、2年で急激に役職員の、特に幹部社員の意識が変わり、取得しやすくなりました。
─R.J.さんの育休は、もともと特別休暇制度を取得する予定のところ、上司の勧めで育休になったと伺いました。特別休暇制度とはどういったものでしょうか
R.J.
現場終了後にまとめて休暇を取得できる制度です。工期中の現場は忙しく、時間外労働が多くなりやすいため、工期が終わった段階でまとめて取得し、リフレッシュするようにしています。
─「育休を取得してみては?」という話が出たとき、どう思いましたか
R.J.
本当に育休を取得してもいいのかなと。社内で私以外に取得している人がいるのかがまず気になりました。自分が2人目であることや他にも取得したい人、取得したいけど工期の都合で取得できなかった人がいるということを知り、自分が取得したときには次に続く人が取得しやすくなるように、オープンに発信していこうと思いました。
─奥さまとご相談はされましたか
R.J.
しました。妻が一番気にしたのはやはりお金のことで、資料を確認すると、育児休業給付金の支給額は休業開始前の給与の約6割ほど。それで生活できるのかと不安だったので、Y.M.さんに相談しました。
Y.M.
社会保険料の免除などいろいろな優遇措置があるので、具体的に計算した支給額を伝えました。
R.J.
約9割支給されるということで、それなら育休を取得しようと決めました。

─奥さまも育休取得中だと思いますが、家事・育児の分担について相談はされましたか
R.J.
分担は特に決めませんでした。でも、子どもの成長を考えると、育休の1ヶ月は本当に短い。できるだけのことはやって、なるべく妻を楽にしてあげようと家事・育児をし、育休中のほとんどは子どものためというくらい時間を割きました。
育休最終日は、妻から「もうちょっと休んでほしいくらい!」と言われたので、喜んでもらえたかなと思います。なにより生後3〜4ヶ月の間をずっと見守ることができました。寝返りも見ることができ、よく笑うようになったことも嬉しいです。
そして、1人で子どもの世話をすることがどれだけ大変か、よくわかりました。こういった経験があるから、家に帰って家事ができていなくても理解し、共感できます。経験がなければ、「なんでできてないの?僕は仕事しているのに」みたいな理解のない夫になっていたかもしれません。
─育休から復職されて、自分のなかで変化したことはありますか
R.J.
なるべく、だらだらと仕事せずに早く帰るようになりました。でも、妻に伝えた帰宅予定時間を過ぎても帰れないと「まだ帰ってこないの?」と電話がかかってくるようになりました(笑)。
J.M.
わかります。私の家庭はR.J.くんとは逆で、私が子どもをお迎えに行き、夕食の準備や入浴など、家でも勝負の真っ最中なんです。妻が帰ってきたらすごく嬉しいですよ、1人戦力が増えるから。早く帰って来てほしい奥さんの気持ちがよくわかります。

保育園のお迎えを担当したパパの場合
─J.M.さんは保育園へのお迎え担当だったそうですが、職場の様子はどうでしたか
J.M.
現場のメンバーが配慮してくれました。朝、ゆっくりと出社したり、早めに退社したりと、現場では柔軟な働き方ができるようにしています。
また、現場と保育園が遠方だったときは、「決めた曜日には定時に帰る」と部下たちに宣言しました。「月・水・金曜は定時で上がるよ。その代わり、火・木曜は目いっぱい仕事するから」と。自分がその現場の所長だったということもありストレートに伝えました。

─それは普段のコミュニケーションがうまくいっているからこそ、できたことでもあるのでしょうか
J.M.
そうですね。それに所長が先に帰った方が、部下たちはみんなのびのびできるでしょう(笑)。私の退社パターンをルーティン化して、それを踏まえたスケジュールの組み方を部下たちがしてくれたことも助かりました。それでも、自分が責任者なので、仕事が回らなければ自分のせいですから。現場所長が不在の場合でも仕事が滞らないように配慮しました。
─お迎えを続けてきて、よかったと感じるところはありますか
J.M.
あります。部下に優しくなりました。子どもが生まれる前と後で、許容できる範囲がだいぶ違いますね。部下が仕事でミスしても、「まあ、仕方がないかな」と。
人を育てる力を養うことができたと思います。子どもと本気で関わっているからこそ、大事に育てるということを理解できたと思います。これは、私にとってのよかったところ。子どもにとってよかったところは、私がすぐそばにいることだと思っています。お父さんも家事をしたり、迎えに来てくれたり、家にいてくれるということですね。
妻にとってよかったところは、イライラがちょっと減ったところだと思います。妻が産休・育休を取得した当時はずっとまかせっきりでした。その頃の妻はだいぶイライラしていましたが、私が育児に積極的に関わるようになって、家のなかの雰囲気がよくなりました。
ジェネレーションギャップを埋めていこう
─社内での世代間の意識の違いは感じますか
J.M.
やはり先輩たちは、仕事、仕事でしたから。近年は、会社が働きやすい体制づくりや、講習、コンプライアンス研修などをしてくださるので、育休に対する理解は浸透してきているかなと思います。
R.J.
たとえ家事・育児の分担はしていなくても、今は男性も育休を取得する時代だと理解は進んでいると思います。
─育休やワーク・ライフ・バランスに関する講習はどのような形でされていらっしゃるのですか
Y.M.
ここ数年はコロナ禍だったので、eラーニングを使っています。「男性の育休のハラスメントやコンプライアンスについては必ず受講してくださいね」と社内に発信しています。例えば、「男性が育休を取得するなんて、昔は考えられなかった」という声について、「部下から『子どもが生まれます』と報告があったら、まずは『おめでとう』って笑顔で言ってあげてくださいね」と。そこからです。細かいですが、意識を変えていただくために具体的な知識として伝え、「今、こういう考え方が主流ですよ」という発信をしています。
R.J.
社内での意識の変化は私も実感しています。出産時に妻が帝王切開になるという急な連絡を貰ったんです。当日午後から大事な予定がありましたが、午前10時くらいに、「これから生まれるんだけど来てくれる?」と言われて。それで、すぐ上司に相談すると、「病院へ行ってあげて」と配慮いただきました。以前なら、私もそういうことは絶対に口に出せなかったと思いますし、上司がそう判断してくださったかどうかもわかりません。途中で仕事を抜けさせてもらったおかげで、出産に立ち会うことができました。
さらに働きやすい職場に進化する
─子育て中のパパとして、あったらいいなと思う制度や仕組みなどはありますか
J.M.
子育てが忙しい時期は子育てに専念できて、落ち着いたらキャリアに復帰できるような、男女関係なく利用できる制度があればと思います。ちょうど仕事に面白みがでて、楽しくなってくる頃に子どもを持つ夫婦が多いのではないでしょうか。仕事人として伸びていきたい時期なのに、仕事も家庭も忙しい……という悩みを解決できる仕組みがあるといいですよね。
あと、「育休」って「育児休業」ですよね。「育児休暇」だと思っている人が多いような気がしています。休んで遊んでいるわけではないですから。だから「休」ではなく、荒木組オリジナルの名称があるといいですね。

R.J.
私自身、育休が取得できてとても良かったので、取得率を上げるような体制作りができればと思います。例えば、前もってアンケートを取って、育休を取得したい人は妊娠したら予定を伝えるという流れを作ると、先々のスケジュールが立てやすくなるのではないでしょうか。出産時期が大体わかるので、 現場配属の調整ができるようになるかもしれませんし、そこから育休を取得することが当たり前になればよいと思います。もし育休が取得できなくても、自宅から近い現場に配属されるだけでもだいぶ助かりますよ。
─なるべく定時で退社しやすい環境づくりが大切ということですね
R.J.
そういう意味では、みなし残業手当が支給されるようになったので、定時に退社する人も増えてくると思います。
Y.M.
みなし残業手当とは、残業の有無にかかわらず、一定の残業手当を支給するものです。社員一人ひとりの効率的な働き方により残業をしなくても済むようになっても、残業手当がつかず給与が減るのでは張り合いがないですよね。当社のみなし残業手当は、いわば業務効率化推奨手当ということです。
J.M.
部下にも指導しやすいですよ。「同じ給料なら、定時内で仕事が終わるように工夫しないともったいないぞ」って。
─会社として、育児に限らず、残業はできるだけ削減し、短い時間で効率的に働いてほしいという思いが込められているのですね
子育てパパへのエール
─これまでの経験から、子育てのための制度の上手な使い方や、協力してほしいという思いをどう切り出せばよいかなど、おふたりからアドバイスやエールをいただけますか
R.J.
育休中は、平日しかできない役所関係の手続きや保育園・幼稚園の見学など、妻だけにまかせるのではなく、一緒に行くのがよいと思います。
J.M.
私が部下に伝えたいことは、奥さんを一番大事にしてあげてほしいということですね。私の妻もそうでしたが、産後は気持ちが揺れやすい。
そして職場では自分がしてきてよかったことを配慮しています。会社には自分の代わりはいますが、家にはお父さんは1人しかいない。そういう風に伝えると、部下も休みやすくなると思っています。なにより、上司や育休経験者に気軽に相談してもらえるとありがたいですね。
株式会社荒木組
住所:〒700-8540 岡山県岡山市北区天瀬4-33
電話:086-222-6841
岡山県内を中心に、建築・土木工事の設計、施工を手がける総合建設会社。品質重視の経営方針と高い技術力による幅広い施工実績で、地域社会に貢献しています。現場の取り組みや働き方などについて、WEBメディア「アラキズム」(https://arakizm.com)にて発信中!